東京オリンピック・パラリンピックまであと10ヶ月ほどしかありません。
関連業界人でもなんでもない一般都民(私)が軽く想像できる程度でさえ、懸念事項がてんこ盛りです。
暑さ。
交通アクセスの未整備。
首都として人も機能も過集中している東京で、通常の生活とのバランス。無償ボランティア11万人も集まらないだろ。宿泊施設の不足。
パッと浮かぶだけでもこんなにある。
とりわけ、分かりやすすぎる「熱中症問題」について。
学校の運動会ですら暑さを避けて秋や春にやるというのに…。
今回はさらに熱中症問題を掘り下げて記事化。
2016年に日本医師会と東京都医師会が森喜朗会長や厚生労働大臣、小池都知事宛に提出した要望書を見つけましたので、ご紹介します。
クリックできる目次
医療の専門家は早期かつ具体的に危惧している
2016年日本医師会と東京都医師会が要望書を提出
その資料が見つかりましたのでご紹介しておきます。
お医者さん達の総本山「日本医師会」および開催地の「東京都医師会」が連名で提出。
専門家の想定するリスクはさすがです。現実に即していますよ。
要望書の提出先
- 塩崎恭久 厚生労働大臣(当時)
- 森喜朗会長、河野一郎副会長(東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会)
- 丸川珠代 東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当大臣(当時)
- 松野博一 文部科学大臣(当時)
- 小池百合子 東京都知事
「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会熱中症等対策に関する要望」
どうぞお読み下さい。
2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会 熱中症等対策に関する要望(PDF:818KB)
(日本医師会のサイト(日医OnLine)の平成28年プレスリリース)より
勝手にざっくり意訳・超訳してみた
上記のPDF資料を読んで、ざーーっくりカジュアルスタイルで訳してみました。
※ころえもんが勝手にお察しした「医療現場の方々の心の声」を交えた文章となっております。
▼▼▼カジュアル意訳超訳▼▼▼
お疲れ様です。
おエラいさんの皆様。。いろいろお務めご苦労様です。医師会としても協力を惜しみません。
それにしても日本の夏ってのは、年々クッソ暑くなってますよね?
しかも1年で最もクッソ暑い7月24日〜8月9日にオリンピックやるわけっすわ。(よりにもよって!)
熱中症患者めっちゃ出ますよね。
普段の夏でも「熱中症・もしくはそれっぽい、違うかもしれないけど怖いから念のため救急車呼んでおこう」層も大量発生してますわ? 2015年の8月1日なんてたった一日で搬送件数 約2500件(全国)やで。
いいですか?医療現場の観点から言わせてもらいますわ。
徹底的に検討してガチな体制構築しないとマジでやばいっす
首都圏なんてのは、まあ他の地域もですが、普段でも救急搬送を断られたりしてるんですよ。問題になってましたよね。
受け入れのキャパシティ不足問題…。救急医療・医師の重労働。長時間労働。
そこにさらに真夏のオリンピックが上乗せって、、、オイ、、と思うわけです。
地方からの日本人客も、さらに訪日客も大量に東京に集まって来るわけよ。
そんなん救急もパンパンになるに決まってます。いや、パンパンならギリ収まってる。パンクして溢れかえるに決まってる。
そもそも普段でも過密な東京で。救急車が渋滞切り抜けられるかな?とか。
選手・観客・関係者だけじゃなく一般の熱中症患者も含めて考えないと

観戦客、それに観戦後の人々への救急医療は、地域の病院がやることになってるけど…
競技場の外で行われるオリンピック関連イベントもあるわけで。それに参加する人のことまで考えてる?
要はオリンピック関連諸々が引き起こす「猛暑下での人の外出頻度」が高まるわけよ。
間接的な場所で起きる熱中症患者への対策も考えといてくれへんとマズイって。
患者大量発生で地域の病院てんやわんやになる!

首都圏以外の観光地でも外国人観光客への多言語対応など環境整備が必要だ
外国人観光客はオリンピックついでに他の観光地も旅行するわけよ。
そりゃ、しますわ。せっかく来るんだもん。(そもそも観光収入を当て込んで誘致したかったわけだし…。)
日本人だって五輪を見に上京したついでに観光地も回ろうって思うよ。
だから首都圏以外の観光地とそれを結ぶ交通の道中も想定せなアカンわけよ。
日本語も英語も通じない国の方。
言葉通じないわ、蒸し暑い系の猛暑に慣れてないわの外国人さん。。。
ってかそもそも熱中症の概念がない外国人もたくさんいるわけで。
そういう方々にも注意喚起するための施策も必要。
多言語での掲示物やウェブでの周知や。かといってポスターだけで臨機応変な対応なんか、できひんやん。
現場対応できる通訳スタッフも要るでしょ。医療通訳。(そんなハイスペック人材..そんなにいるもの?.)
多言語ったって…一体、世界各国でなんぼほど言語を用意せんとアカンのやろ?
外国人への熱中症予防・対策に東京都として取り組んでいる様子が分かる資料をご紹介
▼「東京2020大会に向けた東京都「暑さ対策」推進会議」の会議資料がこちら▼
東京都環境局ホームページより。
- 英語
- 中国語
- 韓国語
- ポルトガル語
- スペイン語
そして、これは別の資料(*)に記載されているのですが
- タイ語
さらに2018年からは
- フランス語
フランス語を加えるのは:IOC(国際オリンピック委員会)の公用語が実はフランス語だから、と。
え?英語じゃないんだ…。驚き(※IOCの公用語第一言語はフランス語。第二言語が英語となっている。)

海外から多民族・多文化・多様なお客さんが大勢いらっしゃる
実際に外国人の患者がでてしまった場合の予想される困難
多文化、多民族に対応できるよう、言語以外の面でも準備が必要。
入院中の食事や慣習、宗教上のタブーにどう対応するのか
宗教上のタブー、文化の違いなどで食べられない食材など。本人が具合悪い中でそういった情報をどう引き出す?
患者とのコミニケーション手段の課題。
パラリンピックでは特に個別のケアが必要な障がい者の観客も多いと予想
障がい者の熱中症対策も重要課題。
個別の症状というものがある。ほんの一例として「汗を搔いて体を冷やす機能がうまくはたらかない」という障がいを持つ方もいる。
外国からもハンディキャップを持つ方が多く来られるだろう。
その個別対応の詳細。症状の伺い方、医薬情報の引き出し方。(素人考えだが、ご本人および介助者が携帯する常備薬が無くなったりした場合に国内にある医薬品でどんな症状もカバーできるものなのか?)
治療中に事故でも起きてしまったら?
保険とか責任? どこが?何をどうするのか?しないのか?
(ちなみに選手村内の診療所の話だが、そこでの医師は無償ボランティアとして、もっか人材確保に向け医療業界団体に向けて呼びかけ中とのこと)
熱中症治療費の不払いが起きたらどうするのか?
外国人患者の方がもし旅行保険に入っていなかったら?
多額の治療費は実費で払ってもらえるのか?
もしも払ってもらえなかった場合、財政措置はどうなるのか。
(アッ。まさかこれも病院側が持つの?無償ボランティア???薬品代とかも?まさかね。そんなバカな。)
そうならないよう旅行保険加入促進の施策が必要でしょうね。
日本の暑さが分からない、楽観視してる訪日客さまだったら「ダイジョブ!ダイジョブ!」って保険スルーの人いそう?
世界的にどれくらいの加入率なんだろうな。検索してみたが芳しい情報でてこない。
私は心配性なので、クレジットカードに付帯してる保険とは別の保険も入っておく性格だけど。友人でも入らないって人、結構いる。
おそらく「クレジットカード付帯のでいいや派」の人って多い。(全てのクレジットカードに付いてるわけではない。)
訪日外国人旅行者がそのあたりどう考えて加入・非加入か・・謎だ。
どうなんですか?
大臣!組織委員会!都知事!!
しっかり考えて対応してくださいね!
という感じの要望書でした。だいぶ膨らませましたけど。
要望書原文は短くまとめられたものですが、背後には言外の意味が多大に含まれているでしょう。
ハァ( ;´Д`)
さらに心配になってきたわ。問題が山積。
そして
熱中症問題について考える上での悪い特徴として「真夏をすぎ、涼しい・寒い季節になると実感が伴わないので忘れてしまいやすい」ことである。
喉元すぎれば “暑さ” 忘れる。
そして翌年の夏がやってくる頃に再燃するっていう。。